<秋田魁新聞 第41863号>
成年男子も続いた 3人で勝負決める
あと1勝で優勝が決まる決勝の中堅戦。
延長突入から約1分、
辻村憲二(秋田刑務所)が一度、二度と
間髪入れずに振り下ろした竹刀が、メンをとらえた。
この瞬間、初優勝と本県の4種別完全制覇が決まった。
伊藤碩士総監督(県連盟)は
来年の国体開催県、大分との決勝前、
「(相手の)後ろ2人は強敵。前の3人で勝負を決めろ」
と指示した。
準決勝まで5戦5勝の先鋒・金森康臣(県体協)は、
相手にプレッシャーをかけ続けて反則勝ちを誘った。
「自分の役割を果たしただけ」
と控えめだが、チームは勢いに乗った。
「地元の声援に応えようとだけ考えた」。
次鋒・土田圭助(県警)は、
ライン際に相手を追い込み、
手元が浮いたところに豪快な抜きドウ。
再開後、すぐにメンを奪い、
わずか1分で勝利。
伊藤総監督が描いた勝利の方程式のおぜん立てができた。
東京・大阪など強豪と対戦する組み合わせ、
それに完全制覇を目指す県勢の
“しんがり役”
というプレッシャー。
5人が「あの試合が大きかった」と口をそろえるのが、前日の東京戦だ。
つわものぞろいの警視庁を相手に、1-2から逆転勝利。
タイに持ち込んだふるさと選手の副将・貝田裕昭(県連盟)は
「5人のたすきを自分が切ることはできなかった」。
毎週末、山形から練習や遠征に参加。
「『秋田』の垂れネームを付けて、剣道人生で初めて日本一になれた」
と万感の思いを口にした。
大一番で大将の役割をいかんなく発揮した
監督兼務の鎌田耕平(秋水館鎌田道場)。
4人は異口同音に
「大会を通じ、鎌田先生が後ろにいたことが支えになった」
という。
「チームは一戦一戦、力をつけてきた。
目標の完全制覇を達成できてほっとしている」
と鎌田。
この勝利をきちんと後輩にバトンタッチすることが次の使命と感じている。
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