<秋田魁新聞 第41863号>
偉業達成 歓喜の渦 秋田剣道完全制覇 剣士ら満面の笑み
ここ数年で全国の強豪と肩を並べるまでに成長した本県チーム。
伊藤碩士総監督(県連盟)は
「遠征を繰り返してきた成果」
と満面の笑みを浮かべた。
成年男子は、昨年の国体以来、最低月一回、
同女子は週末を、それぞれ遠征に当ててきた。
京都、埼玉、千葉のほか、
全国トップクラスの選手がひしめく
警視庁や大阪府警などの胸を借りて技に磨きをかけた。
「他県のチームに育ててもらったという感謝の気持ちです」
と成年男子の監督兼大将・鎌田耕平選手(秋水館鎌田道場)。
強化指定選手が遠征や厳しい強化合宿についてこられたのは、
周囲の協力も大きかった。
国体開催が決まったばかりのころは、
仕事のために思うように練習に参加できない選手も多く、
県剣道連盟の鐙喜裕理事長は
「選手の職場に足を運び、練習に集中できるようお願いした。
まずは選手の環境づくりから始めた」
と振り返る。
家族の理解もあった。
成年女子は主婦業の傍らの稽古。
遠征ともなると長く家を留守にするなど、
「家族に迷惑を掛けることも多かった」
と選手たち。
さらに少年は、
小中学生時代から国体を見据えて指導を受け、県外遠征も重ねた。
それには保護者のサポートが不可欠となるが、
子どもたちの頑張りに、親たちはわが子に限らず、
送り迎えや病院への付き添い、健康管理などの協力を惜しまなかった。
少年女子の貝田理沙選手(秋田北高三年)は、
父で成年男子の副将・裕昭選手(山形県教育庁、ふるさと選手)とともに
歴史的瞬間を味わった。
これまで二人の苦労を支えてきた妻の美千代さん(43)=山形市=は、
「娘は下宿、主人も週末ごとに強化練習のため秋田へ。
寂しさもあったけれど、離れていても家族の心は一つだった」。
周囲の協力、理解が得られるにつれ、
強化練習への選手の集まりもよくなった。
毎週火、水曜に秋田市の県立武道館で行う稽古会では、
年代、性別にかかわらず全員が竹刀を交えるようになり、
チームワークが醸成された。
成年男子の決勝が行われた最終日。
鎌田選手の教え子たちが、観客席から先輩たちの雄姿を心に刻んだ。
筒井雄大君(飯島小六年)は
「ぼくも強くなりたい。刺激を受けた」。
世代を超え一つの目標に向かって苦労を共にしてきた剣士たちの偉業は、
次の世代にしっかりと受け継がれる。
【たのもうや@武道具店】